Henry Darger -American Innocence-

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ヘンリー・ダーガー


20世紀のアウトサイダー・アーティスト


幼くして両親と死別し、13歳で精神薄弱とされ施設に送られ、その後は清掃員として細々と暮らした彼。


81年の生涯を閉じたあとで彼の部屋から見つかったのは、1万ページ以上にわたる「物語」と、それに添えられた巻物とも漫画とも言えぬ、膨大な挿絵の数々。


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自分は絵が描けないと信じた彼は、手持ちの広告や絵本からお気に入りのイメージを取り出し、トレース、コラージュしては、世界を作り上げていきました。
彼の知る現実世界は限られたものだったかもしれないけれど、その心から生み出されたのは、7人の少女「ヴィヴィアン・ガールズ」を中心とするめくるめく世界。


見えてくるのは、国家、戦争、災禍、宗教、神と個人、人種差別、児童虐待…。


だけど、彼がほんとうに描こうとしたものは、もっとピュアなものだったようにも思います。


思い通りにならない「現実」と対峙したとき、創作が、彼の心を癒したのかもしれません。その美しい色彩や、自由すぎるほどの表現が、そのことを証明しているように思えてならなかったのです。


彼はいつも、気分を聞かれるとこう答えていたそうです。


「明日は風がやむかもしれません」










 


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「ダーガーは生涯を通じて自然現象に夢中だった。新聞に掲載された天災の記事や被災者の体験談もよく読んでいた。
『悲劇的に振る舞う人はいなかった。ロマンス小説によくあるように、感情をあらわにして騒ぎ立て自らを貶(おとし)めるような人はいなかった。
現実に起こったサンフランシスコ大地震の被災地を訪れ同じような状況に遭遇した故ウィリアム・ジェイムズ博士の心理学的解説を読んだことがあるが、実に興味深い洞察だ。途方もない脅威と試練にさらされた悲劇の瞬間、人々は飾り気なく自然で、芝居がかった行動や言葉など皆無だった。』


人々は残酷で、壊れやすい。
だが美しく、人は力強く生き抜いていく。
ヘンリー・ダーガーの人生と創作は、その痛ましい証明だ。」


エピローグより。


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本日最終日ですが、好評につき、終了時間が18時までのところを20時までになったようです。
ぜひ足を運んでみてください。


ラフォーレミュージアム 原宿


 



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